テクノロジーの進歩により、今まで一般の生活者には縁遠かったさまざまな表現方法が身近なものになってきています。スマートフォンの普及とともに写真を撮るという行為は違和感なく普段の生活の一部として組み込まれ、かつて高額な機器と深い専門性が必要だった映像や音声の編集作業は今や、パソコン1台あれば可能となりました。加えて、この10年の間に大きく発展した、3Dプリンターなどによってデジタルデータをもとに創作物を製作するデジタル・ファブリケーション技術によってモノを「出力」あるいは「編集」することができるようになりつつああります。
こうした社会的、技術的変化を背景に、生活者一人ひとりのニーズは多様化し、社会全体における生涯教育の役割は地域およびそこに住まう人びとのより豊かな生活を担保する上で今まで以上に重要なものとなりつつあります。このフォーラムでは、さまざまな自己表現あるいは課題解決の手法が目覚ましいスピードで変化する中で図書館が担うべき役割について、国内外のメイカースペースやその他のアウトプットを可能にする利用者サービスを参考にしながら日本の環境に適応した利用者サービスの可能性を検討します。
講師プロフィール
長塚 隆
鶴見大学 名誉教授
微生物学の研究から情報学へ、データベース協会会長などを経て、2004年から新設された鶴見大学文学部ドキュメンテーション学科教授。2015年より2018年3月まで同学科図書館員リカレント教育推進寄附講座教授。1948年生。現在、情報知識学会会長、NPO法人日本農学図書館協議会会長、国際図書館連盟(IFLA)地域資料と系図学常設委員会インフォメーション・コーディネイター。【近著】『挑戦する公共図書館-デジタル化が加速する世界の図書館とこれからの日本-』(日外アソシエーツ 2018)
朝倉 久美
県立長野図書館企画協力課 主査(司書)
1995年に司書として長野県に入職し、県立高校図書館4校に勤務のち現職。専門は情報教育。担当業務として、改革プラン、学校図書館支援、情報基盤、リテラシープログラムの開発等を行っている。八洲学園大学非常勤講師(学校図書館専門職養成科目/探究型学習)。