●本フォーラムの資料提供につきまして-----------------
視覚障害その他があることで、会場での投影資料、配布資料の閲覧に不便のある方には、情報保障として、データ(pptx、PDFなど)の提供を行います。ご希望の方は、11月8日(金)までに、運営委員会(LF@j-c-c.co.jp)まで、ご希望のデータ形式をお知らせください。
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受験参考書・学術書など、学習場面での文献講読環境のアクセシビリティについて、各分野の専門家が熱く語ります!
長らく視覚障害者等は、本を読もうとしても、読みたいときに読みたい本を読むことができず、人々が蓄積してきた知識に自由にアクセスすることができませんでした。そこに、2019年6月、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)が成立、施行されました。同法の施行によって、読書に困難を感じている人たちの読書環境が整備され、知識がすべての人に開かれることが期待されます。出版される本が最初からアクセシブルに作られていれば、誰もが快適に読書できます。それがなぜ進まないのでしょうか。
本フォーラムでは、まず、お二人からアクセシビリティに関わる具体的な取り組みをご報告いただきます。最初に、阿部健二氏からは、本をアクセシブルにする試みについてご報告いただきます。具体的には、現在、サービスを提供している電子図書館「まなびライブラリー」の紹介と課題、障害を持つ方々に向けた新たな取り組みの紹介を通じて、ベネッセにおけるアクセシビリティに対する取り組みをご報告いただきます。
ベネッセのようにアクセシビリティに関する取り組みを始めている出版社がある一方で、多くの出版社ではアクセシビリティに関する取り組みは進んでいません。そのため、視覚障害等、何らかの事情で読書に困難が生じている人は、自前でアクセシブルな媒体に変換して本を読むことになります。近年、高等教育の場では、一部ではありますが、障害学生支援室や図書館が媒体変換の作業を担うようになってきています。そこで、木谷恵氏に、大学における障害学生支援という観点から、京都大学で行われている、障害学生を対象とする文献のデータ化など、読書環境の現状についてご報告いただきます。
次に、お二人から出版、図書館業界の動向についてご報告いただきます。電子出版を含めた、本(HON)のつくり手をエンパワーするメディア「HON.jp News Blog」編集長の鷹野凌氏から、いま、出版産業がどのような状況に置かれており、その中でアクセシビリティがどのように捉えられているのかについてご報告いただきます。つまり、アクセシビリティについては読者のニーズに基いて議論される傾向にありますが、取り組みをするのは出版社であることから、出版産業から見たアクセシビリティについてコメントしていただきます。
最後に、日本IBMで点訳ソフトである点字編集システムや、サピエ図書館の前進である点訳ひろば、音声読み上げに対応したブラウザであるホームページリーダーの開発に携わってきた関根千佳氏からは、ユニバーサルデザインに基づく商品開発という観点から、近年の出版や図書館の取り組みについてコメントいただきます。
そして、フォーラムの後半では、受験勉強や大学での学習など、専門性の高い文献を数多く読む必要がある場面でのアクセシビリティについて、登壇者で議論します。